shinbokuデザイナーのみわです。突然ですが、私は想像・空想・妄想大好き人間です。幼い頃は山間に住んでいたので、森の奥に潜む怪獣を空想したり、海の向こう側に住んでいる人々や世界のことをあれこれ想像して一人で遊んでいました。
やがて大学生になって秋田で一人暮らしを始めたら、アパートの隣に住んでいる人の音がとにかく気になって、さまざまな妄想が止まらず、さすがにヤバイと思ってネットで米軍御用達の耳栓を買って毎日使っていました、、、そしたら耳の穴がかぶれて痒くて死ぬかと思いました。今となっては良い思い出です。
そんな私ですが、日頃デザインの仕事をする上で、この空想癖が案外役に立っています。というのも、デザインの基本的な知識や専門のアプリケーションを使うように、空想癖を最大限働かせて、お客様目線になって、自分の目では見えないところ、経験したことがない領域まで想像力を働かせることで、社会経験の少なさを多少なりとも補ってきました。
今回の記事は、そんな私が入社して2年目に必死に取り組み、現在販売されている名刺ケース「Enishi」ができるまでのお話になります。
当社の名刺ケース「Enishi」は、今やshinbokuで一番人気となっている商品ですが、この商品をデザインしたのは今から約4年前のことです。当時、社長とコンサルタントの方と私の3人で、後にshinbokuとなる新事業部の立ち上げ作業を行なっていました。
その頃、私はまだ入社して2年目ということもあり、なかなか思うような仕事が出来ず、とても悩んでいた時期でした。そんなある日、社長から、ある方へのプレゼントを考えて欲しいとお話がありました。
その方はビジネスマンで、社会的な地位もある男性でしたが、まずは何をプレゼントするか決めるところから考え始めました。人に会う機会が多い方なので、センスやおしゃれさを感じさせる小物が良いのではと思い、組子細工をあしらったネクタイピンやカフスなどを候補に挙げましたが、社内のミーティングで却下。
自分たち目線で格好良いと思っても、本人がどう思われるか確信が持てませんでした。ネクタイピンやカフスを日頃から使わない方だったとしたら、結局使われないものになってしまうし、そもそも木工品のネクタイピンやカフスは、ある意味クセが強く、コーディネートを選ぶので、そんな難しいものをプレゼントしても喜ばれないのでは?という結論になりました。
使う人やシーンを限定しすぎず、もっと実用的で使用頻度の高いものを、、、と考えた結果、印鑑ケースと名刺入れが候補に残り、最終的には名刺ケースに決定しました。
デザインする上で悩んだことはいくつかありました。最初に悩んだことは構造です。名刺入れというと金属製や革製のものが多いですが、たとえば革と木材を比べると、比較的革は柔らかくて薄いですが、木材は硬く厚みがある(薄いと反る)ため、作り込んでいくと、どんどん大きくなっていく=ぜんぜんコジャレナイという問題がありました。
それから素材について。地元の人にプレゼントするので、県産の木材を使用したいと思いました。秋田といえばやはり秋田杉。でも杉は存在感が強すぎて、地元産だからと単純に使っても、なかなか良さを活かせないように感じました。製品の魅力を引き立てる「使い所」を考えることがポイントだと思いました。
最後に全体のデザイン。名刺交換の際、ジャケットの内ポケットやカバンから取り出した時、ハッと目を引き「それはなんですか!?」と会話のきっかけになるようなデザインにしたいと考えていました。そのためには、従来の「木でできた名刺ケース」ではダメだと最初から思っていました。また、置物などではなく実際に使うものですので、使用の際の所作の美しさも意識しなければと考えていました。
以上の3つが課題となり、連日想像しては模型作りやデザイン作成に追われる日々でした。次回のお話しでは、これらの課題をどのように解決しshinbokuで一番人気の製品となっていったのかをお話ししたいと思います。次回もぜひご覧ください!