先月、私にとって大きな一仕事を終えました。
今年7月20日より就航予定の、豪華客船「飛鳥Ⅲ」の特別室に展示されるアートパネルのデザインを担当し、私がデザインしたものを当社の職人が製作して納品しました。
日本全国の魅力を伝えるプロジェクトとして、47都道府県それぞれをテーマとした特別客室が飛鳥Ⅲには設けられており、客室内には各都道府県の工芸品や特産品が用意されています。
宿泊された方が、食や文化、工芸、アートなど、各地域の魅力を満喫できる取り組みです。
今回このプロジェクトで製作した当社のアートパネルは、秋田県をテーマにした客室に飾られます。
作品テーマとデザインコンセプト
デザイン・製作したアートパネルがこちら。
サイズは幅1,300×高さ500㎜。リビングのソファ上部の壁面に展示されます。
先方様より頂いたテーマは「能代らしさ、大栄木工らしさ」。
今年入社7年目、しかも他県出身の私にとっては、正直今まで頂いた中でもトップクラスに難しいお題でした、、社内で何度も議論を重ね、以下のようなコンセプトでデザインを進めることになりました。
「木都の風景・陰影・幽香」
私たち木材産業に従事するものにとって「能代らしさ」といえば、やはり「木都」という言葉が最初に浮かんできます。地域の雄大な自然と森林資源、それに関わる大勢の人々が行き交う木都の風景を、曲線と直線を使ってデザインすることにしました。
パネルの左から右までゆったりと描いた曲線は、能代の街を流れる一級河川「米代川」の豊かな水の流れをイメージしました。

一方、天に向かって伸びる直線は、能代の地に住む人々の明日への希望や夢、願いを表現しています。

自然を表す「曲線」と、人々の営みを表す「直線」が交差するところから、様々な文化や技術、芸術が花開き、広がっていく様子をイメージして、遠近法的に丸や六角形の組子細工を配置しました。
表面の金色の小さなパーツは、米代川水面の水しぶきを表現しています。
さらに、大栄木工が創業から幾度もの苦難を乗り越えて不死鳥のように羽ばたいてきたことをイメージして、組子全体を大きな翼を広げた鳥のような形にしています。同時にこのビジュアルは「飛鳥」にイメージをつなげています。
最終的には作品としてきちんと仕上がり納品できましたが、様々な要素や想いが溢れすぎて、デザインの方向性を決めるのに苦労し、ブラッシュアップも含めると約60通りものデザインを描きました…。
またパネルから木の香りを漂わせるためにアロマオイルを仕込むなどの飛び道具的な仕掛けも用意していましたが、オペレーションの問題で採用されませんでした。
王道的な組子細工のアートパネルはこれまで何度かデザインしてきましたが、今回の作品は自分にとっても会社にとってもかなり挑戦的な取り組みとなりました。その機会を与えて下さった郵船クルーズ様や、アンカーシップパートナーズ様、そして詩の国秋田様に感謝しています。
もちろん反省点も沢山あるので、もしまたこのような仕事をいただいたら、今度はどのように取り組んだらよいか今から考えているところです。
次回は製作の様子などをお話しします! つづく