
少子高齢化、胃がん罹患率、自殺率、最低賃金全国最下位などなど、これまで日本の負の最先端を走って来た秋田県ですが、今もっとも世間を賑わせている話題といえば、そう熊。
連日のように秋田全県で目撃情報が報告されており、私の実家、会社の周辺にも度々出没しています。熊の話を聞かない日はありません。
すべての熊がゴンタくんであったなら

当社の駐車場で見つかったタヌキかクマと思われる「溜め糞」。
2ヶ月ほど前に初めて発見した時は、糞の中にドングリが多く含まれていました。
近頃は、道路沿いに植樹されている銀杏の種が多く含まれています。正直、めちゃくちゃ気持ち悪い、、、
熊に餌場としてメモリーされないように、会社の中庭に植えていた栗の木は、昨年切り倒して処分しました。柿の木は、毎年楽しみにしている従業員のために残しましたが、工業団地に熊が出たと聞いた時点で、今年は早めに収穫して配りました。
それでも、物陰から突然出てきて襲われたらどうしよう、、という不安の中で、日々仕事しています。会社周辺を見渡すと、道路沿いの植え込みや、草原、雑木林、廃工場など、どこに野生動物が潜んでいても、全く不思議ではない環境です。それが田舎。

熊に襲われた人間の返り血を浴びたように、赤く鮮やに色づいた道路の植え込み。

草原にポツンとたたずむ、謎の赤い建屋。
その裏に広がる鉄道の防風林には、リスやタヌキが多く棲息しています。

人けのない建物は、何かが潜む物陰を作りやすく、ただそれだけで、とても怖いのです。熊が出てくるまでは、こういう怖い場所が、個人的は大好きでしたが、今はさすがに、、という感じです。
山菜やキノコを取りに行った人たちが、山で熊に襲われたニュースは、昔から毎年のように耳にしていましたが、近年のように熊が町まで降りてきて、家畜や人を襲ったりする話は、これまで誰も聞いたことがありませんでした。まさに異常事態。
自然界でどのような変動が起き、熊の行動に影響を与えているのか、また現在の頭数や、繁殖率がどのようになっているのか、解明されるまで、まだしばらく時間がかかりそうです。また仮に、解明されて対策が打ち出されたとしても、人間に都合の良いように、野生と人間の世界に境界線を引き直すことが、果たしてできるかどうか疑問です。
何しろ、人がどんどん減っていってます。秋田県の人口は、過去5年間、毎年1万2千人程度減っていってます。50年後には、秋田市しか残らないと予想されていますが、まぁ、たぶんそうだろうなと。今風に言えば、そういう世界線。

今後さらに人間の力が及ぶ範囲が狭まっていくなかで、これまで当たり前だと思っていた生活の安全が自然環境に脅かされ、インフラシステムの維持管理も、どんどん困難になっていくことは目に見えています。
都会に住む人たちが抱えている不安があるように、地方には地方に住む私たちの不安もまたあり、それはいよいよ、のっぴきならない状況になってきています。

だから、という訳ではないけれど、せめて今すぐ何とかしなければならない問題として、人里で狩りをしている熊の駆除は徹底せざるをえません。熊が可哀想という気持ちも分からないでもないけれど、言葉の通じない獣の命より、家族や会社の皆、そして自分の命の方が大切だから仕方ない。
全ての熊が、ボリスのように可愛くて、優しかったら良かったのに、、、
そういう世界線に生まれたかった(泣

②につづく

