前回のデザイン編に続き、今回は製作についてお話しします!
パネルのメインとなる曲線部分は、NCルーターで粗くカットしてから、ノミや紙やすりで細部を仕上げていきました。
NC加工は、いつもお世話になっている二ツ井町の県北パネルさんに依頼しました。県北パネルさんには普段から名刺ケースのレーザー加工などもお願いいしています。大変親身でお仕事も早く、本当に頼りにさせていただいてます。


普段当社では、売り手の都合や目線が先に立つことを避けるため「オール秋田」に拘らないものづくりをしています。しかし今回のパネル製作に限っては、使用する材料の全てを秋田県産材で揃えてもらいました。秋田の自然風土が生み出した天然の色彩のグラデーションを表現するためです。
県北パネルさんで加工してもらったままの部材を図面通りに並べてみた状態。
ここから当社の職人がノミを使って少しずつ削り、形を整えていきます。
例えるなら、人の手を使って削り、魂を入れていく工程。
翼の形に作った定規に部材を当てて削り、自然な曲線を作っていきます。

機械が不得意な、自然な揺らぎのようなものが感じられます。こういった適度な揺らぎを、人の目は心地よく感じます。
さて次は組子部分の製作。曲線部分とは対照的に、直線部分はできる限り正確に、図面寸法どおりに材料を加工し、組み立てていきます。


図面通りに製作したら、円形の枠が少し太く見えてしまったので、全体のバランスを整えるためにペーパーで削り細くすることに。他の部分も、3Dになってバランスが不自然に感じるところはコンマ㎜単位で調整していきます。
組み立てが終わったら、次はクリア塗装で仕上げ。塗装をかけると木材の色がしっとり濡れたように、鮮やかさを増します。また光沢が出るので、無塗装の素朴な印象から、艶々とした高級感のある印象に変化します。
一方、川の水面の水しぶきを表現した丸いパーツは、一旦NCで円形に切り抜いてもらった板に金箔の襖紙を巻いて仕上げました。とても小さいパーツだったので、作るのに苦戦していましたが、丁寧に作ってもらいました。


個々の部材が仕上がったら、襖紙を貼ったパネルに配置していきます。基本的には図面通りに配置していきますが、やはり3Dになると紙や画面で見るのとは印象が違うので、再びコンマmm単位で位置を調整していきます。答えのない苦しい作業です。
やっとのことで位置決めした後、職人に貼ってもらいましたが、絶対に0.1mmも位置がズレないように念押しして貼ってもらいました。しつこすぎて、ウザがられていたと思います、、、
仕上げに、完成したパネルを額縁に納めました。この額縁、というかBOXも全て自社製。材料は神代杉(!)とアクリル板で作りました。
アクリルの保護シートを剥がす際、ホコリの吸着を防ぐため、初夏に締めきった部屋で加湿器をつけ、汗だくになって作業したのも良い思い出、、、
完成したアートパネルはきれいに梱包してもらい、無事出荷できました。
普段は主にドアや建具を製造している当社にとって、今回の仕事は久々にチャレンジングな取り組みとなりましたが、関わって頂いた全スタッフの知恵と技術と汗と涙の結晶のような作品に仕上がりました。まるで魔改造の夜!
素晴らしいチャレンジの機会を下さった飛鳥IIIプロジェクト、郵船クルーズ様、アンカーシップパートナーズ様、詩の国あきたの皆様に心から感謝いたします。
そしてついに、飛鳥Ⅲは7/20に就航開始しました!
私もいつか飛鳥Ⅲに乗って、自分たちの製品を納めた部屋に泊まりながら、旅をしてみたいです。
日本各地、そして世界各国周りますので、皆さまもぜひ優雅な船の旅に出かけてくださいね!